2019/10/15 19:09

HAJICHI、ハジチ、針突 始めて知ったのは、もう何十年も前のこと。
その時にはもう本物を見ることは出来ませんでした。
少し長い文章になりますが、読んでいただけるとうれしいです。

ハジチは、沖縄、奄美の島々の女性達が手に入墨を施す風習で、ひとつひとつの紋様に、願いや魔除けの意味があったとされています。
明治32年(1899年)に日本政府が禁止令を出し、現在はもう失われてしまった文化ですが、ハジチに対する想いは強く、その当時は隠れてハジチを行う女性も多くいたようです。

『 いかな物あていん
後生まで持たん
手ぬあいるハジチ 』

「どんなに物があってもあの世までは持っていけない
手にあるハジチは......あの世まで持っていける」という意味の歌などが残っている所からも、強い想いがあったことが想像されますね。

ハジチを入れる理由として、魔除けだけでなく、結婚可能な女性であることの印として、死後の世界で先祖に会った時、子孫であることがわかる為等たくさんありますが、日本人や外人に連れ去られない様にとの話も残っていて、聞き取り調査をした時代が近年に近い事から推測すると、その時その時の時代に合わせてハジチを入れる意味も変わっていき、「連れ去られないように」という理由が多くなったのは、沖縄や奄美の歴史を想像し、今も変わらない何かがずっと続いているような気持ちにもなります。

ハジチの紋様については、地方や時代、身分によって 様々なものがあったとされますが、ヤドカリや貝をモチーフにしたものは沖縄、奄美共に多くあり、それはアマンというヤドカリの神様を表していて、
「アマンが天の神の命令で天にかかっている七色の橋から土や石を海原に投げて、それをかき混ぜて島を作った。
その中から最初にヤドカリが現れ、その穴から人間の男女が産まれた。
そしてその二人から八重山の子孫が栄えた。」と言うお話もあるようです。
奄美ではニャーデバナというヤドカリがいる島でのヤドカリ葬があったとされ、ヤドカリから生まれたと考えると、とても興味深い話しだなぁと思います。
ガレッジセールのゴリさん監督の映画「洗骨」の中にもあるように、沖縄や奄美は生と死を近くに感じ、圧倒的な自然の中に暮らしがあったのだろうなぁと想像します。
宮古島ではサモア、フィリピンなど南洋諸島のものと似ている紋様があったり、台湾ではアイヌと似て口の周りに施されていたり、アイヌと沖縄の入墨を入れる理由が同じものがあったりと、世界は繋がっていてまたタトゥーというものが広い地域で身近にあったことが窺い知れますよね。

ヤドカリから生まれた話の様に、ネイティブアメリカンの神話の中には祖先はトウモロコシから作られたというものがあり、そこにも自然との密接な関係が想像され、今はそういうものから遠く離れてしまった世界になってしまったのだなぁ、そこに現代の問題に向き合う秘密があるのかもなぁとの想いが浮かんできます。

「強い祈りに近いような願いを込める」そんな生活に想いを馳せて。

☆ハジチについて詳しい方がいらっしゃったら、ぜひ、色々と教えてもらえたらうれしいです!